『乙嫁語り』その1 タイトルに込められた意味とスミスの正体 2冊目
こんにちは!さわこです。
今回取り上げる作品はこちら
「乙嫁語り」です!
~本日のお品書き~
作者について
作者の森薫さんは誕生日が1978年9月18日、東京都出身の女性漫画家です!
代表作は「エマ」「乙嫁語り」で、メイドさんと中央アジアが大好きな方です(笑)
漫画を読んでいるとわかるのですが、とにかく趣味全開な作風で書き込みがすごいです!
また、「中央アジアクッキング」が外務省のホームページで掲載されるなど、ご活躍されています。
あらすじ
舞台は19世紀、中東側の中央アジア。
12歳のハルガル家の跡取りである少年 カルルク・エイホンに嫁いできたのは北方の放牧民で8歳年上のアミル・ハルガルだった。
それでも二人のペースで夫婦関係を築いていく。
本作品は、この夫婦と周りの登場人物を起点に様々な出来事を美しく描いている。
タイトルが示していること
さて、本題です。
タイトルの「乙嫁語り」について考えていきます。
乙嫁とは「美しいお嫁さん、良いお嫁さん」という意味です。
この作品には、とても美しく素敵な女性がたくさん登場します。この作品はそんな彼女達の物語です………が、それだけでは少し足りません!
Wikipediaには「本作の語り部であるイギリス人青年。~一部省略~狂言回しの役割を担っている。」と書かれているがちょっとおしい!
というのも、私は
この作品の登場人物であるヘンリー・スミスが「私はこんな体験をしてきたんだ!」と読者に語っていて、それを聞いている読者の脳内のイメージを描いた作品だと思うからです。
狂言回しなんかではなく、内容のすべてがスミスの口からでたことなのです。
左の眼鏡をかけた男性がヘンリー・スミス
なぜなら、この作品のタイトルは「乙嫁語」ではなく「乙嫁語り」だから!です。
「語」ではなく「語り」だったら何なのか。
それは、「語り」になると口伝のニュアンスが加わります。それが大きな違いです。
例えば、伊勢物語や竹取物語の「語」は、「1つの題材の全体をつたえる話」「創作文章」の意味を持ちます。多くの場合文章そのものを指しています。
そうではなく、スミスが体験を語っているので「語り」なのです。
つまりこのタイトルが指し示しているのは、
「美しいお嫁さん達の話」ではなく「美しいお嫁さん達の話をする」ということなのです。
そう考えるとスミスというキャラクターの正体が見えてきます。
スミスの正体
この作品は中央アジアののことをスミスを通して漫画の中に入り込んだ読者が体験するという構図でできています。
漫画の外に出てみましょう。
実世界の読者はだれを通して中央アジアのことを知るのでしょうか。
中央アジアと読者をつないでいる人物はそう、作者である森薫先生なのです!
趣味全開の作品を読者にぶつける様子は、正に読者に体験談をぶつけているスミスなのです。
いや~面白い!作品の中に自分を登場させるクリエイターは宮崎駿監督などたくさんいますが、森薫先生は漫画の中でもブレませんね(笑)
以上、今回の記事はここまで!
読んでいただきありがとうございました!!!
では~ノシ